進化するオリエントスター
世の中には昔からほとんど変わっていない物と、すさまじく進化したものがあります。全然変わっていないのは車のワイパーでしょうか。一方ですさまじく進化したものといえば、時計でしょう。
1969年、セイコー社がクォーツ時計を発売し、時計の世界は一変してしまいます。私がクォーツ時計を見たのはもうちょっと後だと記憶していますが、あの時の衝撃は今でもはっきりと覚えています。「これですべての時計はクォーツになるな」と子供心に思いました。
しかし、クォーツ時計でも十分凄いのに、現在主流になっているのが「電波時計」です。日本に2箇所ある放送局から、電波を受け取り自動的に日時や時分秒を合わせてくれます。離島以外すべての地域をカバーし、10万年に一秒しか狂わないと言われるセシウム時計を元にしていますので、まさに全自動。ましてや電波時計+ソーラーシステムが組み合わされた腕時計も現在では珍しくなくなり、まさに完全全自動、秒単位で狂わない腕時計が出現したのです。
しかし、だからといって、皆さんご存知のように、機械式時計が絶滅した訳ではありませんでした。機械式時計の持つ、物としての価値が一部のユーザーに愛され、クォーツ時計を開発したセイコーでさえ、色々な機械式時計を復刻させています。しかし、どちらかというと機械式時計は高級品であり、オーバーホールなど手間や費用がかかります。
そこで、今回は比較的手ごろな価格で機械式時計を販売している「オリエント時計株式会社」さんをご紹介しましょう!オリエント時計といえば、やっぱり代表は「オリエントスター」ブランド。中でも、「オリエントスター・クラシック」のラインナップから、昭和の機械式時計の雰囲気をかもしだす一つのモデルについての進化を追ってみました!
機械式時計、パワーリザーブ付きでしかも低価格!
オリエントスター・クラシックの登場
1999年5月、機械式時計のユーザーにとって、嬉しいニュースがありました。オリエントスター時計株式会社から、レトロな雰囲気を持つ機械式時計、しかもパワーリザーブ付きの腕時計が発売されたのです。しかも価格は驚きの¥38,000!機械式時計で、しかもパワーリザーブ付というと数十万円はするのがあたりまえだったのに、この価格は衝撃でした。しかも裏スケのシースルーバック!当時、さっそく買いに行ったのを覚えています!カラーは3色ありましたが、レトロな雰囲気のクリーム色を選びました。知らない人が見たら、「おじいさんの時計を借りてきたの?」と間違われそうですね。
●オリエントスター・クラシック
WZ0241EX
うーんすばらしい。みていてなんだかほっとする、暖かな、やわらかい雰囲気の時計です。実際に使ってみると、パワーリザーブ針というのは使い勝手が良いですね。自動巻きや手巻きの場合、あとどれくらいで時計が止まってしまうのかわからないので、それがだいたい解かるというのは、やはり便利です。また、ちゃんと夜光が塗られているのがとてもいい感じです。
また、サイズが38mm程度というのが良いです。男性用というと40mmが多いのですが、ちょっと大きすぎませんか?ほど良い大きさで、付けごごちがしっとり来ます。
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WZ0241EX
38,000円 |
21石、自動巻き、手巻きなし。
生活用防水
ハック機能なし
ニューアルして再登場した
同モデルのオリエントスター・クラシック
●オリエントスター・クラシック
WZ0081FD
ところが、このモデル、これで終了ではありませんでした。時計もマイナーチェンジするのか!と驚いたのがこの時計。2004年6月に発売されたセカンドバージョンです。最初に発売された「WZ0241EX」との違いが解かるでしょうか?並べて比較すればわかりますが、別々に見たのでは全然わかりませんね。
全く同じモデルで、機能をアップしてきたというのは、数十万円する高級時計ならわかりますが、数万円の機械式時計で実現したのは記憶にありません。(知らないだけ?)「オリエント時計って凄い!」と心底思いました。前のバージョンを継続して売ったほうがコスト安のような気がするのは私だけでしょうか。あるいはがらっと雰囲気を変えて新しいモデルとして販売するとか…。
防水機能をアップしてきたのは嬉しい部分ですが、ハック機能はあいかわらず付いていません。ただ、平均日差+25秒〜ー15秒なので、秒針を合わせる必要は無いような気もするのですが、あった方がいい機能ではあります。
また、2時の部分に付いていた日付早送りのボタンが無くなっているので、時計がよりシンプルでスマートに見えるのもセカンドバージョンの特徴です。
時計本体には関係がありませんが、オリエント独自の「スムーズバンドアジャスト」機能がブレスに付いています。これは、簡単な付属工具により、ブレスの調整が簡単に出来るというものです。スプリングと棒を組み合わせたような方法で、確かに簡単にコマ調整が出来ます。低価格の時計のブレスには、単なる割ピンが付いているのが多いです。これには工具が必要ですし、モデルによってはコツが必要だったり、なかなか外れなかったりするので、とても嬉しい機能ですね!
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WZ0081FD
45,150円 |
前モデルと比較すると:
各種意匠の変更。
ブレスにスムーズバンドアジャストを採用。
2時位置の日付修正ボタンを廃し、リューズでの日付修正に変更。
防水が生活用防水から5気圧にアップ。
21石、手巻きなし
ハック機能なし
ついに手巻き、ハック機能を搭載!
防水機能もアップされた
最新バージョン!
●オリエントスタークラシック
WZ0011EJ
前モデルをさらにバージョンアップし、2006年11月に満を持して発売されたのがこのモデル「Z0011EJ」です。現行型になります。前回のモデルがどちらかというとマイナーチェンジだったのに比較すると、今回は文字盤を大幅に変更し、手巻きやハック機能を搭載するなど、かなり大きな改造がなされています。特に文字盤は非常に美しく、高級感が格段にアップしています!また、12の文字の欠け(パワーリサーブ部分による)が、より少なくなっています。この部分は前の方がデザイン的に面白くて良かったという人がいるかもしれませんが、こちらの方が全体的に見てより自然(12の数字がはっきりわかるので)ではあります。この部分を変えてくるなんて、開発側の強いこだわりが伝わってきますね!
また、今までに無かった機能として、手巻きが可能になり、さらにハック機能(秒針停止機能)が加わりました。ハック機能もそうですが、自動巻きにも手巻き可能な方が断然便利です!これによって、機械式時計として、ほぼ完成の域に近づいたと思います。
防水機能も、さらに10気圧対応になり、より安心して使えるようになったのも高ポイントです!
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WZ0011EJ
52,500円 |
文字盤、針などを新たに作成し、大幅に質感が向上。
各種意匠の変更。
手巻き機能、ハック機能を追加。
10気圧防水。
22石 自動巻き
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WZ0011EJの裏側
シースルーバックから見える
美しいムーブメント |
同じモデルの時計を進化させ、より理想に近づけるオリエント時計さんの姿勢は本当に素晴らしい!機能アップと共に値段もアップしていますが、これはファーストモデルが安すぎたのだろうと思います。
今回のバージョンアップで、おそらくこのモデルは完了でしょうけれど、ぜひまた素晴らしいレトロなモデルを開発、発売してください。
最後になりましたが、安価で素晴らしい機械式時計を提供してくださる、オリエント時計株式会社さんに感謝いたします。どうぞこれからも機械式時計にこだわり、私たち時計ファンを感動させてください!
(2009/06/21)
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